死の月

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死の月

 親死ぬ  子死ぬ  孫死ぬ  こんな縁起の悪い言葉を聞かされて育った俺は、もうすぐ殺される。  共謀罪・国家転覆罪・首相暗殺未遂テロ実行犯。その他にも様々な罪で俺は今、国から命を狙われている。さっき入った仲間からの情報では、国お抱えの暗殺部隊が俺のもとに迫っているそうだ。  俺が生まれた年に「死の月」と呼ばれる感染病が世界中で流行し、世界はいや人間は一変した。  月の光が影響するというその感染病は人と人の接触を一切遮断した。月の光を浴びた感染者は感染力を持つ光を発光するとされ、夏であっても外出の際は全身を隙間なく覆わなければならなくなった。顔にはフルフェイスのヘルメットが必須だ。誰が感染者かわからない恐怖が、世界を覆った。その恐怖で人は人と距離をとるようになった。  専門家は人々の外出を規制したが、それでも感染を抑えられないとみると家の中でも、家族内であっても人々にフル装備をする事を求めた。そのお陰で俺は父親の顔を写真や昔の動画でしか見たことがない。
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