0人が本棚に入れています
本棚に追加
父の死
俺が六才の頃父はこの感染病で死んだ。死の月を予防するという「太陽の日差し」というワクチンを打った1週間後に父は死んだのだ。遺体からも感染力を持つ光が発光されると言う専門家によって、死後も全身を隠されフルフェイスのヘルメットを被されたまま父は火葬された。そんな死装束だから、中身が父だったのかわからない。六年一緒に暮らしていたが俺は父を知らない。それが父だとなんとか認識できたのはヘルメットに父の遺影が貼られていたからだ。それだけだ。
俺は泣かなかった。父の声や匂いは知っていた。でも顔を直に見たことはなかった。俺は悲しくなかった。
最初のコメントを投稿しよう!