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真実
俺が十五歳の頃「太陽の日差し」から改良に改良を重ねた「太陽の光」というワクチンによって世界から感染病「死の月」は消滅した。その時俺が生まれた年に七十億いたという世界の人口は半分になっていた。
そして、俺が十九歳になった時「真実」が明らかになった。
全ては茶番だったのだ。死の月という感染病も、その感染対策も、そのワクチンも全て嘘だったのだ。
「オールリセット」
世界の権力者がそう呼ぶ世界刷新政策の第一段階が「死の月」という嘘のパンデミックだったのだ。
四六時中のフル装備、禁じられた他者との接触。それによって「月の世代」そう呼ばれる俺たちは、今までの人間とは違う人間になったらしい。他者の感情を理解しにくく、理解しようともしない、他者との繋がりを求めない、けれど上からの命令は従順に聞く。
またワクチンという新薬によってそれまでの人間は多くが選別され、月の世代が世界人口の半分に達した今、権力者たちは見事に世界人類の奴隷化に成功した。全ては茶番だったのだ。
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