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「でも…訳ありかしらね。」
「あーだから隠れてたり、あんな暗い顔をしてたんだ。」
「わ、私は、代理…で。出場者の女の子は…体調不良で…。」
それで衣装のサイズがぴったりな私が代理になったのだ。
「あなた、本当は出たくないでしょ?」
「で、でも…私が…。」
私が出ないと、クラスみんなが恥をかいてしまう。
だけど私は出たくなんかない。
無理だよ。
晒し者になんかなりたくないし、私みたいな地味で可愛くないやつに誰も票なんて…。
「君は可愛い。」
「え?」
「今さ、自分なんか地味で可愛くないって思ったでしょ?私でも分かるくらい思い切り顔に出てた。」
「まぁ余程自分に自信がないとミスコンに出ようとか考えないわね。誰も恥なんてかきたくないから身代わりを用意する。男どもはただ楽しむだけ。全く…辟易するわよ。」
身代わり…。
やっぱりそう…だったんだ。
おかしいと思ってた。
私と同じくらいの背丈の人はクラスで何人もいることは知っている。だからサイズが合うのは私だけなんてありえない。
「逃げて責任を感じてるかもしれないけど…逃げて正解だから。」
また坂野さんに頭をポンポンとされる。
なぜだかそれが嬉しく思った。
「………つまんないなぁ。」
「紫乃?」
「恒例のミスコン…同じことを毎年してるわけでしょ。それにこんなくだらないことに女の子一人身代わりでしょ?やること小さいよ。つまんない。」
「あんたね…。」
「絶対そんなもんよりこの子と遊ぶ方が楽しいよ。そんな行事のせいで遊べないとか…。」
それから数分、阿島さんは顎に手を当てながら考え込んで。
やがてニヤリと笑った。
「ねぇ杏奈。もっと面白いことしない?」
「そうね…私が楽しめることなら協力しなくもないわね。」
「ミスコンなんだけどさぁ。面白いこと考えちゃった!」
「あんたはやること大きすぎるのよ…でもそうね、確かに恒例ってつまらないし…いいわ、乗る。あんたの面白い考えなら興味あるしね。」
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