お姫様になった日

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走りながら声を出すのは意外と大変であると今実感する。 思ったより声が出なかった。 「なんて!?白…雪?」 案の定聞き取れなかったようで。 もう一度人混みのなかを聞こえるようには言えない。 「まぁいいや!三組!!!お前らの探している白雪姫はこの阿島紫乃が頂いた!!連れ戻したければ、私に追い付くか体育館まで来たれ!!」 今…白雪姫って言った!? え?なんで!? 確かに漢字で鷺を抜けばそうなるけども!! それに頂いたと言っておきながら体育館まで誘導って。 体育館ってミスコンの会場なんじゃ…。 「白雪姫って…白鷺さんじゃん!!」 「え!?待って!?あれが!?無茶苦茶可愛い女の子になってるけど!?」 「絶対ミスコン優勝じゃん!!連れ戻せぇぇえ!!!!」 声がクラスの人に届いたみたいで…。 「「返せ!俺たちの白雪姫ぇえ!!」」 ひぃ!! すごい勢いで追ってくる!! その時、ぎゅっと繋がれた手に力が込められたのを感じる。 なんだろう。 こんな…自分勝手な解釈でしかないけれど…まるで離さないと言われているみたいで…。 どうしよう…ドキドキが…止まらないよ。 走ってるせいじゃない。 まるで本の中の…恋物語のような…。
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