お兄ちゃんはよく死ぬ

2/39
前へ
/39ページ
次へ
と、息の抜けた声で言う。 葵は高校一年生。 兄の優は二つ上の高校三年生。 二人兄妹。 同じ学校に通っている。 なんせ、兄の優は子供の頃から変わっていた。 お人好しを超えて、優しいも超えて、もう国宝級、いや世界遺産級にいい奴だ。 自分の持っている物は全部欲しい人に与えてしまう。 お前は裸の王子様か?! と突っ込みたくなる程だった。 その兄を守ってきたせいか、葵は小さな頃からケンカばっかりしていた。 葵の産まれてからの初めての記憶が、優が公園の捨て犬に、家から持って来た自分の夕食全部を与えている姿だった。 それがそのまま、高校生になってしまった。 優はちょっと人が振り向くほどのイケメンだ。 身長は175センチで細身。染めてないのに元々栗色のさらさらヘアで、大きな二重のきれいな目をしている。 それで優しいとなれば、女が放っておく訳がない。 しかし、自分勝手な女と付き合って優がめちゃくちゃにされるのは、
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加