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夕飯の片付けの時にランチバックから大小2つのお弁当箱を取り出し、流し桶に浸けた。
「圭太もお弁当箱出ていないよ。出さなかったら、明日のお弁当作らないからね」
「はい、遅くなってごめん、今日も美味かったよ」
空の弁当箱を受け取ると優しい瞳で私を見つめ、頭をクシャと撫でる。
胸の奥がギュッとなる。
圭太にとって、私はどんな存在なのだろう。
「ねえ、圭太。私……」
ダメだ。口に出したら気まずくなってしまう。
「ん? どうした」
「圭太は、私の事……嫌い?」
ずるい聞き方をしてしまった。圭太が私の事を嫌いだなんて言うわけない。
「まゆの事を嫌いなわけないよ」
圭太の手が私の頭を撫でる。
苦しくって胸が張り裂けそう。
「圭太……私……圭太の……」
言葉を遮るように圭太の両手が私の頬を包み込む、見つめる瞳が悲しそうに揺れ、頬を包む右手の親指が私の唇をゆっくりとなぞる。
そして、おでこにそっと圭太の唇が触れた。
「まゆの事、好きだよ。大事な姪っ子だ」
「うん。わかっている……」
圭太の手が、私の頭をクシャっと撫でた。
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