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こう見ているとただ体が大きいだけの人間に見えなくもない。むしろ人目を避けてこそこそしている僕の方が異常かも……
「山場詩さんは元気な人ですね」
「ん?天獄でいいぜ、俺も真裏って呼ばせてもらうしな。それにしてもこれが普通の人間の大きさか。こんなに小さいんだな〜先祖が心配して手助けするだ」
山場詩さん、いや天獄くんに横腹から手をかけられて、僕はなす術なく持ち上がった。デカイだけじゃない、筋肉の塊みたいな手だった。こんな事されるの小さい時にお父さんにやってもらったっきりだ。僕も人間で言えば大きい方で、女の子なんかはもっと小さいと伝えると更に驚く。
元々山男は森の主、森やその周りに住む命を守るために生まれたとされている、同じく自然に生きる人間を守っていても何も不思議はない。
「なんだ、あいつちっせえな!」
「しかも妖気も最低クラス。半妖にすら負けるとか恥さらしもいいとこだ」
何やら蔑む声が聞こえる。天獄くんに肩車されながら、どうした事かと周りを見た。多分発生源は中央のさっき僕達が身長を測っていた場所だ。
「コラ、笑うんじゃない!……135㎝か、確かに小さいが、それ以外の顔は肌の色、髪の毛なんかは完璧だ。悪くないぜ」
「は、はい。ありがとうございます……」
恐らく参加者であろう小さい女の子が泣きそうな顔で紙を受け取っていた。少し可哀想だ……僕達は彼女の元へ駆け寄った。
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