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裏山の旧校舎……と言う名のこれから僕達が1年間世話になる試験場所。一眼見るだけではただのボロボロの廃屋だ。
けれど、一度視認阻害の結界をくぐり抜けると、そこは異世界だった。まるで人間が思い描く妖怪の根城そのものな空間。想像もつかない人のために説明、千と千尋の湯屋を想像して欲しい、それにドンピシャだ。
大きく構えているその城は木とコンクリートの併用で出来ていた。おしゃれな和風な雰囲気を漂わせつつも、纏う空気は妖怪の放つ妖気そのもの。
「受験生ですか?ようこそ。こちらにお名前をお願いいたします」
入って早々のホールで、恐らく人間の試験官であろう女の人に呼び止められた。名前はもう決めている。半妖は数が少ない分規制もゆるゆる、名前も自由につけられる。そして僕はお母さんの種族、そしてお父さんに付けてもらった名前に因んで……よし、これで完璧。
「出来ました!」
「はい……道芽木真裏(どうめきもうり)さんですね。本人確認が完了致しました。まもなくこちらのホールで試験の概要を説明致します。おくつろぎください」
僕は大きな一歩を踏み出した。
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