入学試験

1/3
前へ
/33ページ
次へ

入学試験

待つ間、ホールは混沌が詰まっていた。近くのソファーでゆっくりしていたら、山男に半妖だと言う理由で珍しがられる。それは別に良いんだ、珍しいんだから仕方がない、守備範囲内だ。 でも吹き抜けの天井を利用して飛び回っている天狗に笑われた時はムッとした。天狗は元々悪戯好きだ。妖怪としては悪いことじゃないけれど、半妖の僕も悪いことはしていないと言うのはちゃんと知って欲しい。あまり天井を見ないようにしていると、一つ声が上がった。 「やめないか、お前たち。すまない、俺の子分が迷惑をかけたな」 まさに鶴の一声。天狗達が大人しくなった。親分?のような少年は、一見僕よりも小さかったけれど……得体の知れない何かはあった。 「アイツらは元カラスだ。妖怪に昇格して浮かれてるだけだから、あまり怒らないでくれ。悪かった」 「い、いいんだよ。ありがとう」 礼儀正しい彼にこちらも頭を下げる。そして考えた、思ったよりもすごい妖怪も志願している。まあ妖怪科なんて前代未聞だからみんなこぞって参加するのも無理はない、僕もそのうちの一人だ。うん、頑張ろう。 一人で勝手に覚悟を決めていると、何やら男の人のアナウンスのような物が聞こえる。誰だろうと思っていたら、次の一言で場が静まった。 「2400もの妖よ。よくぞ来てくださいました、私は安倍清明。安倍晴明の子孫にして、霰第一高校の理事長です」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加