人間化の課題

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人間化の課題

とにかく課題を受けなくてはと全員が課題に挑戦する体型になった。妖だられだったホールは人間で、いや人間に化けた妖怪で溢れかえる。僕はその辺有利だ、元々半妖で化けるのは得意だ。あとは左手をなんとかしよう、包帯を固く縛った。 「よしやるぞ。真裏、頑張れ、頑張れ〜」 自分にエールを送った。人間化の課題は至って簡単。身長を測り、見た目をよく見て、ちゃんと人間に化けていれば合格。結果に応じて10点満点中いくつかもらえる。なるほど、こうしてポイントを増やしていくのか。 「道芽木真裏、こっちこい」 「は、はい!」 身長は人間の高校生の常識の範囲なら簡単に合格をくれる。女の子なら145〜165㎝までで男の子は160〜185㎝までだ。勿論人間でもこれを下回る、上回る人もいるからあくまで目安。結局は全体的な点数だ。 「175㎝っと。身長は何も問題なしだな。……その包帯はどうした?怪我をしているのか?」 僕よりも背の高い男の試験官に心配されてしまった。中学生の時もだけれど人間は他人の怪我に敏感だな。妖怪なら切断ぐらいじゃないと気にもしてくれない。 「いえ、その、すみません。左手だけ変化が苦手で……いつも古傷と偽って包帯をしているんです」 試験官に嘘はつきたくないから正直に告白した。試験官はうーん、と言いながら紙に僕の点数を書き、退場側に渡してくれた。 「まあまあ良かったぜ」 紙には筆ペンで「9」と書かれていた。……まあまずまずだろう。
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