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こじんまりとした薄暗い店内は、大人の階段を一歩ずつ登ったのではなく、エレベーターに乗って急上昇したような気にさせた。
氷の入ったグラスがカランカランと音を立て、静かな店内に響き渡り、葉純はこれが大人かとその雰囲気に酔いしれる。
「はすみは、こういう店初めてなのか?」
「それは、まだ成人してからそんなに経ってないんだから。」
「ふーん、そうか…
それにしても、甘いなぁ。」
フルーティなお酒のグラスを置いた父は、しばらく見ない間に少し老けたように感じた。その証拠に薄暗い店内に同化することなく白髪混じりの髪が映えて見える。
「それにしても、はすみとこうやって並んでお酒を飲めるようになるなんて正直思っていなかったな…」
それはそうだ…
私だってこんな日がくるなんて思ってもみなかった。
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