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しだいに、周りの話に合わせるように相槌を打つようになった。全くそんな感情を持ったことはなかったが、自分が異常だと思われることが嫌だった。
本心ではないことを言うたびに、心に罪悪感を抱いたが、それが自分の立場を守っているというのもまた事実だった。
自分の立場を守った行動は、いつしか葉純を飲み込んだ。
好きが嫌いに変わることに明確な境界線は無い。
嘘の嫌いは、本当の嫌いに変わるのに時間はかからなかった。
後ろを振り返ると、トンネルの出口は、もう閉ざされてしまって後戻りすることができなかった。
父へ募らせた嫌悪感は、高校になるとより一層強いものになっていった。しだいに、父も葉純と距離をとるようになり、あまり関わらないようになった。それが、父なりの最善策だと考えたのだろう。そんな父をみて、余計に腹が立ったりと気持ちの整理はつかなくなっていった。
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