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5月のとある1日
忘れられないあの出来事から――つまり裕也とお付き合いを初めてから早1カ月。季節は5月に入っていた。GWが終わると待っているのは新入生特別テスト。そのテスト対策のために私は泊りがけで裕也の家に来ており、一緒に勉強をしている。
…そこまではいいのだが。
「あーもう全然わかんね。ハナ、次ここ教えてくれよ」
「ん?どこ?」
あの一件の後、一度もデートどころかキスもない。こんな事で、もやもやしてるのは私だけなのかなって思っちゃう。そんな感じでぼーっとしていると、裕也はニカッと笑い話しかけてきた。
「サンキュ!いや、ほんと助かるよ!テスト頑張ろうな!」
「う、うん」
どこか集中できないでいる私に、裕也は『大丈夫か?』と私の頭を撫でてくれた。それに一瞬ぽかんとするも裕也らしさを感じ、クスッと笑いを零した。
そして、休憩を取りながら、夜まで勉強を続けていった。そんな中、5月4日の夜事件は起きた。
この日は朝から雨足が強かったのだが…
「ねぇ、裕也。今日雨強いね。早く止めばいいけど…」
「そうだなぁ。明日には止んでほしいな」
「…明日?」
「や、なんでもない」
そこまで答えると、裕也はプイッとそっぽを向き、教科書に視線を落とした。22時を過ぎたころ雨音だけでなく雷鳴も響きだし始めた。雷が苦手な私は小さな悲鳴を上げ、体を硬直させてしまう。それに気づいた裕也は私の手をギュッと握ってくれた。
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