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ジンさんは、とても落ち着いていて、とても暖かい人。
出会った頃は、冷たい印象があって
私は、あまり近寄らないようにしていた……
ジンさんは、同じ職場の先輩で、私がこの部署に配属された時に教育係として私の指導をしてくれていた。仕事に関しては、とてもやり手で厳しい所もあって少し苦手なタイプ。
私は、怒られるよりも褒められるとのびるタイプなのにな…… なんて思って自然と距離をおいてしまう。
そんな時に、ジンさんの一面を目の当たりにする。
私は、新しい部署に馴染めずにいたし。同じ部署の人達の名前をなかなか覚えられないでいた。
「うう……なんでここの人達の名前って難しいの?たてがみ?たちがみ?」
ブツブツ一人で話している私をみていたのだろう。
「おい、同じ部署で働く仲間の名前を覚えるのは基本だぞ!」
ジンさんは真面目な表情で注意してくる……
そんな、ジンさんがとても、苦手だった。
「えっ!?ジンさん……?何を言ってるんですか?ジンさんも僕の名前ちゃんと覚えてくれてないじゃないですか!?」
そう言ってジンさんと仲の良い後輩がすかさずジャブを入れて、私に向かって気にするなよっと言っているような表情で話している。
「ああ、俺も人の名前覚えられないんだよね〜」
と普通の事のように話している。
さっきの発言は、どうやら無かった事になっている。
そんな状況をみて「はい?な、今、なんて言いました?」っていつも厳しい人でもこんな一面があるんだと心の中で思ったのがきっかけで
ジンさんの印象がガラリと変わって緊張が一気に解けた事が私達を近い距離に近づけるきっかけとなった。
それからは、ジンさんへの印象も変わり、少しずつ私達はお互いが離れられない存在に自然と
想い合うようになっていった。
ジンさんは、私の教育係だったし、仕事中はいつも一緒に過ごしていてそれがお互いにとって自然な事になっていた。
夜も遅くなる事も多かったし一緒に夕食を済ませて帰る事がいつもの流れ。
「俺、おまえの事、好きだ。誰にも渡したくない。俺の彼女になって欲しい」
突然、ジンさんから告白されてびっくりしたけど、私も好きな気持ちは同じだったから、同じ職場だからとか周りの人達にバレたらとか深い事は考えずに自分の気持ちを優先にして考えた。
そう思えたのも、ジンさんだったからだと思う。
「俺と結婚して下さい!ずっとこれからも俺のそばにいて欲しいんだ」
付き合って一年たつ頃に、ジンさんにプロポーズされて私達は結婚する事になる。
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