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キケナの花 1
「もう少しかな?」
僕の部屋でくつろいでいる悠に尋ねる。
「そうだな。もう蕾がだいぶ膨らんでるからな」
僕がおじいさんのお店で買った、花が咲いたらいいことが起こるという植物。僕には最近いいことがたくさんありすぎて、こんなに幸せでいいのかなと考えてしまうぐらいだ。それでも、花が咲くのは楽しみだ。だって、毎日水をあげてるから、どんな花が咲くのかワクワクする。
もう一つ理由がある。それは、悠が花が咲いたら見せたいものがあると言ってくれているからだ。すごく楽しそうな顔をしながらそんなことを言うから、僕までとても楽しみになってしまう。
「薫、明日の朝には咲いているかもしれないから、今日はもう寝よう」
「わかった」
僕たちは悠の部屋へと向かう。廊下を悠と話しながら移動しつつ、僕はいつもお世話になっている悠に何かお返しができないかなと考える。そうだ! 明日葉に聞いてみよう。そう考えていたらあっという間に時間が過ぎて、僕はいつの間にか眠っていた。
「あのね、悠にいつものお礼をしたいんだけど、どういうのがいいのかな?」
僕は葉と暖、那に集まってもらって作戦会議をする。
凱は先日獣人国に帰ってしまった。僕が生き返ったから、国王は作戦が台無しになったと怒るだろうなとぼやきながら。
新もお店の手伝いがあるからと、結婚式の日に帰ってしまった。
「別に、しなくてもいいんじゃないか? お前が甘えたら悠様も喜ぶだろうよ」
「それじゃだめなんだよ。僕が何かしなくちゃ!」
「こういうのはどうです?」
那が手を挙げて発言する。なんだろう?
「確か、兄上の誕生日が一週間後ですので、そこでサプライズをして喜ばせてはどうでしょう?」
おおー、とみんなで感心する。
「それはいい案ですね。悠様は大体ご自分のお誕生日をお忘れになっているので、サプライズにはちょうど良さそうです」
「ありがとう! そうする!」
「じゃあ俺たちも手伝うぜ」
暖の頼もしい申し出に、葉と那も頷く。
「よし、早速作戦を練ろう!」
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