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同じゼミの橋本奈緒から付き合って欲しいと言われたのは、3か月前のゼミ合宿の夜のことだった。
けど、その直後いろいろあって、俺はそれどころじゃなく。
橋本には申し訳ないけれど、俺の中ではもうすっかり終わった話になっていた。
きつく唇を結んだ俺を冷静に小山は眺める。
「……来週の飲み会。一次会の後に3年生だけで集合してどっか行こうって連絡来たじゃん?返事した?」
「したけど、俺は帰るよ」
「なんか用事あるの?」
「無いけど、別に俺は飲まないし」
「飲みかどうかわからないよ。女の子たちはファミレスでも行きたいって言ってるみたいだし。……で、なんでそうやって顔が曇るわけ」
いろいろ見透かされてるようで面白くなく、俺は眉間に皺を寄せて、手をつけていなかったコーヒーを飲んだ。
小山は言った。
「……たとえば、お前がずっと男しかダメな奴で、どうしても女はダメで葛城さんが好きってなら仕方ないと思うよ。でも、あきらかにそうってわけじゃないなら、たまたま今まで付き合った二人とはうまく行かなかっただけかも知れないじゃん。それだったらもう一回付き合ってみてもいいんじゃない?」
「それ、『誰か』がお前に頼んだのかよ。俺に探り入れろって」
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