135人が本棚に入れています
本棚に追加
「……大丈夫です」
いや、この人が橋本の件を知ってるわけがない。
話の流れでたまたま出ただけだろう。
「……俺は……女の子と付き合うつもりはないです」
「へえ」
ん?
……待てよ。言い方……。
「あの、今のは」
「……そうだ。佐藤さんからデザートのシャーベットが自家製で美味しいとも聞いてたんだ。頼んでみようかな。きみも食べるかい?」
思い出したように言って奏人さんは品書きを手に取る。
なんとなく狐につままれたような心地で俺は言った。
「……食べます」
「そう。じゃあ何にしようか」
何事もなかったように彼は嬉しそうな笑みを見せた。
最初のコメントを投稿しよう!