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「あー……面倒くせぇ……」  逃げるようにトイレに来て、手を洗いながら鏡を見て俺は呟いた。  口に出たのは一言でも心の中は愚痴が止まらない。  これで3年の二次会も行かなきゃならないのかよ。  つか、告られた時、俺なりに誠意込めて断ったじゃん。  なんでこんなことになってるんだよ。  いや、人の話聞くと一回で断られても何度かぶつかってOKもらったなんて話もあるから、別におかしなことじゃないんだろうし。  橋本は多分顔とか雰囲気でいえば可愛い方だし、会話も俺が困ってれば何気なく助けてくれたり、性格も気が利くし優しい、と思う。  自分に好きな人が居なくて、普通に女と付き合えるなら理想の相手なのだろうから、この状況は俺が悪いんだとは思うけど……。  時間的にあともう少しとはいっても居心地が悪くて、つい逃げてきてしまったものの、結局この後もあるんだし、あれだけ小山に言われたら腹が痛いなんて嘘ついてばっくれるわけにもいかないし。  戻らねえとなあ……。  はぁ、と溜息ついて、ドアを開けて出ようとした時、誰かがつまづいたように懐にぶつかってきた。 「すみません」 「いえ……」  酒臭いな、どこの酔っぱらいだよと思ったら、俺を見上げたのはよく知った顔だった。 「奏人さ……」 「ああ、きみだったか」  長い睫毛を瞬かせて俺を認めると、くしゃりと表情を崩して笑う。
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