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「さっき話しただろう」 「……あ……」  俺と飲みに行ったりしないように言われたっていう……。 「……小山……ですよね」 「それは僕からは」 「いや、本人認めたんで。言ってもらって大丈夫です」 「彼と話したのかい?」 「……少し聞いたけど、……俺としては奏人さんがいつ何を言われてどう思ってたのか気になります」  ふ、と彼は笑う。 「ごめんよ。彼には彼の道理があるようだったから、軽々しく喋るわけにもいかなくてね」 「……俺と、小山の事情とどっちが大事なんですか」  自分だけカヤの外だったのが面白くなくて、ついムッとして口を尖らせると、奏人さんは一瞬きょとんと瞬きをして、それから吹き出して笑った。 「何がおかしいんですか」 「いや……それは答えるまでもないことだけど」  ぐるりと視線を巡らして、奏人さんは言う。 「寒いし、僕もだいぶ疲れたし、歩きながらでいいかい?」  繁華街を少し奥に入っただけで店は減って、個人の住宅が多くなる。  狭い道を挟んで軒先に鉢植えが置いてあったり、無造作に自転車が停めてあったりする、俺の家のあたりと似た感じの、古い住宅街だ。 「小山君っていうのは」  明かりはついているけど周りの家々はひどく静かで、奏人さんは隣の俺だけに聞こえる程度の声で話す。 「よっぽど、きみが好きなんだね」
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