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「……だったら、俺が誰のことを好きでも、あいつにとやかく言われる筋合いはないじゃないっすか」 「今のは僕の意見で、小山君の考えじゃないだろう」 「そうだけど……でも、あいつにはあいつの理由があったとしても、奏人さんにそこまで話したり、今日は俺と飲みに行ったりしないようにとか、ちょっとやり過ぎじゃないですか」  俺がむすっと唇を結ぶと、奏人さんは笑って言った。 「そこは彼も言い方が上手いんだよ。きみは僕と仲がいいから、3年生の二次会があっても忘れて、僕との予定を入れてしまうかもしれない。だから、僕がきちんと覚えておいてそういうことが無いようにして欲しい、というお願いの形でね」 「……お願いの形でめっちゃ喧嘩売られてるじゃないすか」 「そうだね。でも、別に僕は嫌いじゃないよ。あの子は」 「は?」  ふふ、と奏人さんは笑う。 「彼の気持ちも分かるからね。異性として好きなのは橋本さんでも、きみのことも大事なんだろうから。この秋にいきなりやって来た他人が、入学した頃から知ってる自分たちより親しくなったら面白くない程度にはね」 「……それって、奏人さんに嫉妬してるってこと?小山が」 「それは僕の口から言ったら怒られるだろう」  彼は笑ってそれ以上言わなかったけれど、それだけでなんとなく、小山のこの人に対する言動が腑に落ちた気がした。
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