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1月末。
最後の試験を終えて教室を出ると、先に出た小山が待っていて白い歯を見せた。
「終わったなー。おつかれ」
「おつかれ。てか、まだレポートはあるけどな」
「まあ、なんとかなるでしょ。とりあえずホッとしたわー」
小山は両手を上げて伸びをすると、俺の方を向いて言った。
「今日はバイトは?」
「あるけど、遅番だから別に急がないけど……何かある?」
「良かったら、ちょっと付き合ってくれる?」
連れて行かれたのは、あの時のファーストフードだった。
同じ席で向き合うと、小山は言った。
「えっと……納会の件さ、あれから休みになっちゃったし、学校始まっても試験でなかなか話せる時もなかったから、うやむやになってたけど……いろいろ、悪かったな。余計な世話焼いて」
俺が黙っていると
「なんだよ。まだ怒ってる?」
苦笑いを浮かべる。
「いや、そうじゃなくて……」
あんまり素直に言われたもんだから、面食らってたんだけど。
「……謝るところは謝るのが、お前らしいなって。……ちょっとビックリしてた」
「まあ、ひとこと謝って、その後の報告みたいなのもしたいなと思ってたから」
「報告って……」
「え?……」
俺の顔を見て、ぷっと小山は吹き出す。
「別にお前に報告しろなんて言ってないよ。その顔見たら言わなくても分かるけど」
ぶわっと顔に熱が上って、耳まで赤くなってるだろうことは鏡を見なくても分かる。
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