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 取り繕いようもなくて窓の外に目を遣ると 「ホントに、あの人のこと好きだったんだな。お前」 からかう調子でもなく、思い遣るような小山の声がした。 「……なんだよ。気持ちわりーな」 「悪かったと思ってんだよ。自分にも好きな人が出来ると、分かるから」  視線を戻すと、小山は言った。 「俺、彼女と付き合うことになったんだ。橋本さん」 「……そっか」  頷いて、小山は続ける。 「あれから、……てか、あの日、結局俺と彼女も二次会は行かなかったんだ。お前と葛城さんが一緒に居るとこ見て全部察したみたいで。お前のこと聞かれたから、急な用事が出来たみたいで帰ったって言ったら、ポロポロ泣き出しちゃってさ。だから、二人でカラオケボックス行って落ち着かせて」 「……悪かったな」  小山は首を振る。 「俺も反省したんだよ。俺が勝手な自己満で余計なことしたせいで、かえって傷つけることになっちゃった気がして。……で、心配だったから、そのあとも飯食いに行ったり、いろいろ話して……その時はまだ付き合ってなかったけど、俺から誘って初詣とかも行って」 「マジで?」 「……鳴瀬、あの人と付き合ったんだろ?そういうの行かなかったの?」 「あのさあ、天気いいし、どっか初詣でも行かねえ?」  正月、2日のこと。  俺がそう言うと、あの人はしばらく考えて、答えた。 「あのね、神様っていうのは外にあるんじゃなくてきみ自身の内にあるものだよ。自分の信じてるものを裏切らないで、自分に嘘をつかずにいればうまくいく。わざわざ人ごみに行って神頼みなんてしなくても大丈夫」
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