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「かもな。誰かが嫌そうだったから」
「悪かったよ……」
小山は笑って言った。
「それもあの人のおかげかね」
「何が」
「……俺は、やっぱり個人的にはあの人は苦手だけど、お前にはああいう人が必要だったんだろうな」
「あのさあ」
「何?」
「気持ち悪いとか思わねーの?小山は、最初から俺が女の子苦手だって知ってたから、半分は冗談かも知れないけど、同性でもとは言ってくれてたけどさ」
真面目な顔で数秒宙を見つめて、小山は言った。
「……少ない、ってだけじゃん?」
「え?」
「お前や葛城さんがおかしいって訳じゃなくて、女の子が好きだって奴の方が多いってだけじゃないのかなと俺は思うけど」
「……そっか」
そうだよな。
こいつは、相手が同性だからで俺を非難したことはない。
ただ橋本の味方をしたかったのと、多少あの人が気に入らなかったというだけだ。
「で、鳴瀬さあ」
「ん?」
にやりと笑って小山は言った。
「飲み物だけ買ってきたけど、やっぱ小腹減ったなって感じなんだけど。ポテト食わねえ?お前のおごりで。L買って半分ずつ」
「なんで」
「俺謝ったし、誰にも喋らなかったじゃん?橋本さんも。だから、感謝しろよってことで」
むっと唇を結んだけど、反論しようとは思わなかった。
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