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低く抑えた中に本気の響きがあって、ちょっとぞくっとした。
怖い、というより、鳥肌立つような、期待だ。
「許さないとどうなんの?今が怒ってないなら」
「……そこまで怒ったことは、今までの人生で無いから。なってみないと分からないよ」
怖ぇ。
なった時には俺、命無いんじゃないかと思うと、笑ってしまった。
小山が、この人をどこか怖いと言ったのは、きっと間違ってはいない。
そういう怖さも含めて、俺はこの人が好きなんだろう。
ぎゅっと抱きしめて、俺は言った。
「そうなることはきっと無いけど、万が一なったら、あんたの気の済むようにしていいから」
「……迂闊な約束はしない方がいい」
「守る気も無い約束ならしねーよ」
ふっと彼は笑うような息を漏らして、俺の背中に手を回した。
「そうだね。きみはそういう子だ」
「……なあ、俺いつまでガキ扱いなの?」
「子供扱いなんてしていないよ。ただ年が下だからってだけだよ」
甘い匂いのする首筋に鼻先を擦り付けて、俺は言った。
「だったら、もうそろそろ良くねえ?」
「何が」
「分かってるだろ」
首筋にキスすると、奏人さんは俺の頭を撫でる。
「なんでその話になるんだい」
「ずーっと考えてるよ」
ぷっ、と奏人さんは吹き出して笑う。
あれから、何度も泊まってるし体も全部見られてるけど、最後まではしてもらってない。
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