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 もともと受け容れるように出来ている女の体とは違うのだから、少しずつ慣れた方がいいとか言って。 「なあ、もういいだろ。1か月経ったし」  獣がじゃれるみたいに首筋を甘噛みすると、奏人さんはあやすように背中を叩いて、溜息混じりに呟く。 「僕が抱かれる方でいいって言ったのに、どうして苦しい方がいいんだろうね」  それは、あの人とのことがあったから、っていうのは言えない。  半分は夢の中のことのようで、あんまり生々しい記憶は無いけれど、今まで感じたことのない感覚がざわりと体を走ったのは覚えていて、あれをもう一度と思ってしまう。 「……俺、怖くて抱けねーもん。あんた壊しそうで」 「自分が壊れるのはいいのかい」  本気ともからかいともつかない声に顔を上げると、奏人さんの表情はいつもの優しげな笑みに戻っていて、俺の頬を両手で包んで言った。 「嘘だよ。そんなことはしないけど、……ただ、少しずつにしないと、僕も加減が出来なそうだから、時間を掛けさせてもらったのもある」 「……うん」 「おいで。匠海」  俺を懐に抱き寄せて、奏人さんは言った。 「それなら、今度予定の合う時に外に泊まりに行こうか?」 「マジで?」  弾かれたように顔を上げると、奏人さんは笑った。 「意味、分かってるかい?」 「……ラブホとか……そういう……意味だろ?」
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