136人が本棚に入れています
本棚に追加
「なるほど。でも僕が言ったのはそういう意味じゃなく、子供みたいに抱かれてるだけでいいのかって意味なんだけど」
顔上げると
「きみがそうしていたいならいいけれど」
笑って俺の髪を撫でる。
「……あんた、ホント性格悪いな」
「うん?」
「だって、飯片付けないまんまとか、あんた嫌いだろうと思って。……軽く充電だけで我慢しとこうと思ってたのに」
「そうか。匠海はいい子だね」
「バカにしてるだろ」
むっとする俺の額に、奏人さんはキスをする。
拗ねた顔をしていたいのに、甘くてむず痒い感覚に流されそうになる。
「……手出したきゃ、勝手に出せばいいじゃねーか」
「そうもいかないよ。僕の方が大人なんだし、強引なことはしたくない」
「あんだけふてくされといて、今さら?」
マイペースでプライド高い恋人は勝手に頬に唇にキスを落としてくる。
床に押し倒されそうになって
「ここじゃ嫌だ」
せめてもの抵抗で口尖らせると、そこは無理矢理ってことはなく、ちゃんとベッドに連れてってくれる。
ふかふかの布団に埋もれて、この人の体温と匂いに包まれるのは心地がいいけれど、ちょっと待てよと頭の隅で思う。
「なぁ、そういえば俺まだ一度も好きとか言われてなくね?」
一瞬、間があって
「そうかもしれないけど、何か問題あるかい?」
平然と奏人さんは返す。
最初のコメントを投稿しよう!