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「……ねえけど」
「なら、構わないだろう」
……って頬に落ちるキスは気持ちいいし、そりゃ正直この人には、多少ヤキモチ焼きとか、ちょっと変わってるってとこはあっても不満はないけれども。
「……ちなみに、なんで言いたくないわけ?」
奏人さんは、俺の耳たぶを唇に挟んで甘く噛みつく。
「……言葉にすると、違うものになってしまいそうだから、かな」
「……どゆこと?」
俺の聞くタイミングも悪かったのかもだけど、手持ち無沙汰に耳たぶ含んで舌でねぶりながら考えるのやめてほしい。
背骨に沿って首から尻まで、びりびりと何か走る気がする。
「んっ……」
「あのね」
あ、と思わず声が出る。
話し始めの吐息がかかるだけで、ぞくっとして体がふるえる。
俺の様子を知ってか知らずか、耳に唇触れながら奏人さんは続ける。
「たとえば、こんなことをしたり、今日みたいに食事を作ってあげたり、それは間違いなく僕の意思としてきみに届くけれど、そういう言葉にすると曖昧だろう」
「ん……」
舌先が耳の中に入って、ぴちゃりと濡れた音と感触がして、下腹が疼く。
「可愛がってあげたいのかもしれない。それとも、僕はきみが好きだ、だからきみももっと僕を見てくれって意味かもしれない。それは……」
「ふぁ……、は、……あの、も、いいから」
「うん?」
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