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「は……っ、……も、分かったから」
背筋、ぞくぞくして収まらない。
「……なんとなく、分かるし……ちょっと文句言ってみたかっただけで、……あんたがそうやって」
言葉が続かなくて息をつくと、するりと服の中に手を入れて奏人さんは囁く。
「……触れてるだけで伝わる?」
「あ」
指先が俺の反応確かめるように、ゆっくりと肌を滑る。
「それなら、それが一番理想的だ」
……実際、好きだなんて言われなくても不満は無いのだ。
他に付き合ったことがなくても、この人が多分他の誰より俺を想ってくれて、……男同士でも、そんなことどうでもいいくらい体も心も満たしてくれる、っていうのは分かる。
吐息混じりに、俺は呟いた。
「……あんたが好きだよ、って俺は何度でも言いたいけど」
「いいよ。何度でも」
「言われんのはいいのかよ」
「嬉しいよ。……人からもらう贈り物は何でも嬉しいけど、自分が贈る物は悩むだろう。そんな感じだよ」
分かるような……。
「っ……ぁ」
脇腹をなぞられて目を閉じると、唇が重なる。
濡れた感触が唇を撫でて、深いキスにどろりと体が溶けていきそうな心地がする。
唇が離れて
「……なあ、やっぱ今日しねえ?」
さっきまで何を話してたかなんてすっかり忘れて、蕩けた眼で見上げると、奏人さんは微笑んで俺の頬にキスした。
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