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子持ちなのに「結婚できない」なんて言われても
「ごめん、マリナ。俺はお前とは結婚することはできない。だから――」
目の前の男は何かを喋っているけれど、私の頭の中はそれどころじゃない。
両方の手のひらを握りしめる力が、グングンと増していくのが分かる。
――そもそもだ。
私の婚約者でも無いコイツは、いったい何を言っているのよ⁉︎
コイツは十数年前にも一度、私に告白してきている。
そして綺麗スッパリと断ったはずなのだ。
その後も何度か告白っぽいことをしてきたけれど……もちろん答えは全部NO‼︎
それに私がアンタと結婚なんてするワケが無いでしょう!?
だって私には大事な息子も娘もいるんだから!
2回も離婚を経験しているのに、今さら結婚に夢なんて見ないっての。
だいたいさぁ、婚約破棄モノなんて小説かドラマの中だけでいいのよ。
ざまぁ? もう遅い??
ふふっ、そんなの鼻で笑っちゃうレベルなのだ。
……ヤバい。
もう両手の震えが収まりそうにないや。
取り敢えず、満足げな表情を浮かべているこの男を黙らせよう。
私は拳を握り、そのままの勢いでコイツに飛びかかった。
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