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父から帰ってこいとの連絡があり、家へ戻ると兄夫婦は帰っていた。家族と祖母だけになった居間は呼吸がしやすかった。
「今日、夜伽は旭ちゃんに任せてもいいかい?」
祖母からそんな提案をされたのは軽めの夕飯を食べ終えた直後だった。明日の夜に通夜が行われ、葬儀は明後日の午後に執り行われることが決まっていた。
「火の番をしていればいいんだよね? 大丈夫だよ」
祖母が僕に頼む理由はよくわからなかったが、快諾した。だが、祖父と一緒にいられる時間も限られている。より長い時間、隣で寄り添いたい気持ちは強かった。
祖母も家族も寝静まり、静かになった仏間で僕は揺れる蠟燭の火を見つめていた。縁側から流れてくる夜風を感じながら、揺れる火を眺めていると眠気が襲ってくる。耐えられなくなったら、父に代わろう。そう、思い始めた時、目の前を小さな光の玉が通り過ぎた。僕は驚いてその光を目で追う。だが、明るい室内ではうまくその姿を視認できない。僕は仕方なく電気を消した。
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