十六.

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十六.

最終結果の発表の夜。 四ヶ月ぶりに小説サイトを開き掲示板に入った。 『おめでとうございます!』 『すげぇな!おめでとう!』 『大変、御目出度(おめでと)う御座います』 雷星の作品についてここで話した覚えは無いので、きっと誰かがネットで公募のチェックをする中で僕の名前に気付いたのだろう。 『ありがとうございます。 でも佳作とは言え書籍化は無いみたいです。 書籍化するには微妙に流行りじゃないとか微妙に熱苦しいとか、そんな感じのことをものすごく優しい表現で言われましたよ』 『今後はどうするんですか?次回作も楽しみです』 『しばらく見なかったし、書くのやめちまってねぇか?』 今後。 『いやぁ、次回作はまだ全く何も書いて無くて』 そもそも僕は、今後、何のために何を書くのか。 続ける言葉に迷いいったん会話を中断すると、四ヶ月の放置で()まりに()まっている通知を確認した。 大量に贈られている「イイネ」の中、それほど頻繁(ひんぱん)に届くものでは無い「感想」も幾つか入っていて、見知った名前の中にちらほらと新しい人も見受けられた。 そのうちの一人を選択すると、 「ありがとう」 と、ただ一言だけが記されていた。 それはだいぶ前に書いた、自分の信念を貫くために奔走(ほんそう)する若者の姿を、その周りで助ける人たちの友情や葛藤(かっとう)や努力を通して描いた作品だった。
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