二.

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二.

「今日は大丈夫そうだな、頼むよ」 最近よくフリーズするパソコンのご機嫌を(うかが)いながらネット小説サイトを開いて自分の掲示板へと入ると、 『結局五個とも全部二次で落ちました。 二次だとある程度読まれた上で落とされてるから、カテエラで除外だったりする一次落ちよりしんどいですよね』 と簡潔な報告を書き込む。 小説なら、ふいに手元に舞い戻ったこの小三の処女作以来の十五年強、さらに二百冊ぐらい、スマホを手に入れてからはネット小説サイトを転々としながら、トータル千八百万字以上は書いてる。 ただ、段々と十代ならではの過激表現が増殖してしまったため、小説を書いていることもノートもサイトも母親には隠すようになっていたのだ。 『残念です……。 鳴神纏(ナルカミマトイ)さんの作品、すごく好きだし、添削(てんさく)をと送って頂いた作品も全部、私に直せる所なんて一つも見付からなかったぐらいで、なんだかお役に立てなくて申し訳無いです』 サイトの友人、夜杉花華(よるすぎはなか)さんから素早いレスが届いた。 彼女は華やかで美しい貴族の物語を書く人で、深い造詣(ぞうけい)流麗(りゅうれい)な文章がその世界を見事に(いろど)り、連載する長編はサイトで常に上位を維持し続けている。 読解力も高く的確な批評をくれるので、公募に出す前には必ず彼女の意見を(うかが)うことにしていた。
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