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三.
正直、僕は、行き詰まっていた。
初めて公募に挑戦したのは十四の時だ。
その時なぜか一次を通ってしまったのが、きっと僕の人生を狂わせ続けている。
僕は小説以外のことをほとんど知らないまま、小説を書く時間とお金のためだけに、できるだけ楽な大学に入りできるだけ楽なバイトに就いて、そのまま卒業してフリーター生活も早や三年目に入った。
その三年の間に当然の如くデビューしているはずだったから、就職など真面目に考えたことも無かった。
いや、本当はもっと前、大学生の時に、高校、中学の時に、稀代の大天才として華々しく文壇へ上がっているはずだった。
だが現実には、これも駄目、こうしても駄目、こっちに出しても駄目なのか、そんな試行錯誤と落選が繰り返される日々だけが過ぎていった。
『選考も意外と適当なんじゃねぇのか?
鳴神纏はプロで書くべき漢だよ。
だが俺の方はちょっとリアルの多忙に追われちまってたり、色々思うところもあってな。
ここらでいったん手を引くぜ』
『え?マジですか?小説やめちゃうんですか?』
もう一人の友人、天誅KOさんからの突然の発表に、すっかり慣れた自分の落選なんかよりもよほど驚いた。
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