22人が本棚に入れています
本棚に追加
一.
「ねぇ、覚えてる?
あんた小っちゃい頃、ノート何冊にも渡る小説みたいなのを延々と書いてたでしょう。
小三ぐらいだったかしら。
久し振りに見付けちゃって、懐かしいからあんたも見てみたら?
小説、まだ書いてたりする?
あんたは天才よ。
もしまだ書いてるなら、頑張ってね」
母親から送られてきた仕送りの段ボールには、諸々の生活用品と共にその手紙と二十四冊のノートが同梱されていた。
「天才だったら、どんだけ楽だっただろうね……」
ため息交じりにも、母親とノートの懐かしさに口元を緩ませながら、いったん箱から離れて机上のパソコンの電源を入れた。
最初のコメントを投稿しよう!