自分の命の残りについて

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自分の命の残りについて

 俺は、青井 瞬(あおい しゅん)23才、身長175cmで、体重は93キロで、ちょっとぽっちゃり気味だ。  地元の高校を卒業してから、友達も行ったので、東京の大学に行くことにした。そして、何事もなく卒業して、そのまま何となく東京で就職した。  ある日、休みの日に起きがけに、ぼーっとしている時に『俺の命の残りは、どうしたら知る事が、出来るのだろうか』と、ふと思った。それから、その事をたまに思うようになっていた。  それからしばらくして、会社の定期健康診断を受けた。勤務日の半日を健康診断センターへ行き、検査してもらった。1ヶ月くらいするとその健康診断センターから1通の手紙が家に届いた。  開けてみるとこの前の検査の結果だった。ほとんど検査の数値は平均値だったが、レントゲンの項目にコメントが書いてあった。 『胃の辺りに小さな影が見えます。念のため、お近くの病院で再検査を受ける事をお勧め致します』  俺は、そのコメントは、あまり気にしなかった。まだ入ったばかりの会社だったので、休みを取りづらかった。それに仕事を覚える時期だったので、必死になっていた。そして、再検査の事を忘れていった。  それから3ヶ月経った頃、朝起きたら胃に違和感があった。それに最近、食欲がなく、ズボンのベルトの穴も変わり、ズボンが、ぶかぶかになっていた。鏡を見ると顔が青白かったが、会社に向かった。  会社に着くと上司から呼び止められ、顔色が悪い、何かふらふら歩いてるから、今すぐ、病院に行もってこいと言われた。仕事が溜まってけど、またうるさく言われるのは、嫌だったので会社近くの病院に行った。  病院では、まず採血し、レントゲンを撮った。しばらく待合室で待っていると診察室に呼ばれた。診察室には、初老の医師が難しい顔で、レントゲンの画像を見ていた。 「この胃の影が気になります…」 「そういえば、健康診断の結果も何か影があると書いてありました…」 「どのくらい前…」 「3ヶ月前くらいで、再検査は行きませんでした…」 「そうですか…大きい病院に行った方が良いな…紹介状を書くから、明日行ってきなさい…」 「えっ、明日ですか…」  また明日も会社を休まないと行けないのが、気がかりだった。会社に戻って、上司に病院で言われた事をそのまま報告したら、明日は休んで、必ず、病院に行くように言われた。仕事の時と違って、意外と優しかった。  家に帰り、今日は何か凄く疲れたので、シャワーも浴びず、ご飯も食べずに寝てしまった。  次の日になり、まだ調子悪かったが、紹介状の大きい病院に行った。また、同じように採血され、レントゲンを撮り、CT検査も受けた。  待合室で、うとうとしていたら、名前を呼ばれた。診察室に入ると若い医師が、レントゲン画像とCT映像を見比べていた。その若い医師から親の居どころを聞かれた。 「青井さんのお父様とお母様は、お近くにお住みですか?」 「いえ、母は他界して、父と姉が他県に住んでいます…」 「そう…」  若い医師は、どうするか迷っていたが、俺が察して、声をかけた。 「先生、俺、大丈夫ですので、何でも言ってください…」 「うーん、わかった…胃の裏にある影、何かあると思う…もう少し調べるけど」 「腫瘍ですかね…母も胃癌で亡くなったので…」 「まだわからないけど、通ってもらうから、ご家族に連絡しておいてください…」 「わかりました…」  検査を受けている時に思い出したのだが、母の時と感じと症状が似ていた。 『命の残りなんて、考えなければ良かったのかな…』
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