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その夜、僕はゆり椅子に1人腰掛けて暗くなった庭を眺めていた。
池にいる亀がふわぁとあくびした時、その視界の奥に影がふっと現れた。僕はよく目を凝らしてみた。暗闇の中にくっきりと鋭い目つきがこちらを見つめていた。「ん?」と思って僕も見つめているとこちらに近づいてきた。しかも近づいてくるにつれ分かったが、鋭い目つきは1つではない。月明かりに照らされてやっと子猫が10匹ほどいると確認できた。
「野良猫にしても多いなぁ」
と僕はつぶやいた。その中に見覚えのある子猫もいた。昼間見た子猫だ。その子猫は僕の近くまでやってきて窓をカリカリ引っ掻いた。窓を開けてやるとぴょんっと部屋に上がってきて
「描いて」
と一言言った。
「ん?今…なんて?」
僕はあんまり驚きもしなかったがちょっと気味が悪かった。
「昼間私の似顔絵描いてくれたでしょ。私のお友達の似顔絵も描いて欲しいの」
今度ははっきりと子猫が喋った。
「喋った…」
と驚きつつも「いいよ」と僕は言った
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