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何事かと思って見てみると今度は大人の猫が10匹ぞろぞろやってきた。
「これはまた描いてと言われる展開だな」
僕はそう推測してまたスケッチブックを取りに行った。またしても猫が窓をカリカリしたので開けると、猫は言った。
「私達の子供を連れ回してどういうつもり?!」
「うちの子供が迷子になったと思って探し回ったのよ!」
「あなた許さないわよ!」
散々な言われようだ。
どうやら子猫たちは親に言わずにここへやってきて、心配した親が子猫たちを探し回っていたようだ。
僕が弁解するのも聞かずに怒りだけぶつけていった親たちはそそくさと帰っていった。
「理不尽だ」
僕はぽつりと言った。
「理不尽だ」
僕はまた呟いた。
でもふと思った。
僕が今まで避けていたのはこういうことだったのか?楽しいことや理不尽なことも全て避けて生きてきた。人生の中で理不尽なことなんて日常茶飯事だ。
「ふぅ」
僕はゆり椅子に腰掛けて額に手を当てた。月明かりが僕を照らしていた。これは僕に与えてくれた神からの生きる励ましなのか?確かに成功したと思ったら失敗して、山あり谷ありというのもこういうことなのかも知れない。
「ありがとう神様」
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