A棟105号室

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 赤んぼうが乳首をぽろっと離した。  寝てしまったのだ。  だらんと力の抜けた我が子の身体が愛おしい。  瞳を閉じると、まだ、わたしの中で光が明滅している。  音はもう、聞こえない。  手探りで、寝た子をそっと、寝床に下ろす。  夫を迎えに行ってやろう。駐車場へ。  手探りで。 《完》  
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