18人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんな、タケシ…全部、父ちゃんのせいなんだ…父ちゃんさえいなければ…あぁ、うぅうっ…」
父ちゃんはそう言って、嗚咽を漏らして泣き出した。
オレは、父ちゃんが泣いている姿を初めて見た。
多分母ちゃんの話は、父ちゃんにとって思い出すだけでとても辛いモノだったのだろう。
だから今までずっとオレに誤魔化し続けて、母ちゃんの話をしないようにしていたのだと思う。
オレが母ちゃんの話なんて聞こうとしなければ…父ちゃんを今泣かせてしまうことにはならなかった。
「母ちゃんの話を聞かせせてくれ」なんて言わなければよかったと、オレは後悔した。
ばあちゃんが、泣いている父ちゃんの背中をさすった。
「お前のせいじゃないよ、キヨ…。由美子さん、そんなこと思っちゃいないよ…!」
ばあちゃんがそう言って励ましても、父ちゃんが泣き止む気配はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!