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そのまま、母ちゃんは2泊ほどして帰ったらしい。
ばあちゃんの振舞った晩ご飯を美味しそうに食べ、じいちゃんとビールやら日本酒やらを仲良く一緒に飲み、父ちゃんの部屋で父ちゃんと一緒に寝ていたそうだ。
オレの住むこの家に母ちゃんは来ていたのか…と思うと、少し不思議な気持ちになった。
やがて母ちゃんはほぼ毎週、車で8時間かけてこの家に来るようになった。
少ないときは1泊だけ、多いときは3泊。
母ちゃんがやって来るのを、父ちゃんだけではなくばあちゃんもじいちゃんもすごく楽しみにしていたという。
そんな中、ばあちゃんはずっと気になっていたことを母ちゃんに聞いた。
「おうちの人は何も言わないのかい?」と。
一人娘で、実家は会社を経営していてかなりのお金持ちだという母ちゃん。
そんな女の子が、こんな遠いところへ一人で車を走らせてやって来て数日家を空けるだなんて、両親が心配しないわけがない、と思っていたのだ。
「両親は、あたしが一人娘やからって、縛るんです。それがすごい窮屈で…。あたし、家の会社継ぐのは嫌なんです。自分のしたいことしたいし。それに、キヨとずっと一緒におりたいんです」
母ちゃんは、ハッキリとそう言ったらしい。
ばあちゃんは、母ちゃんから強い意思を感じたそうだ。
母ちゃんがこの町に毎週来るようになって2ヶ月が過ぎた頃、父ちゃんはついに言い出した。
「今度は、俺がそっちに会いに行くから!」と。
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