母ちゃんのハナシ

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しかし父ちゃんは母ちゃんみたいに良い車を持っているはずもなく、軽自動車しかなかった。 さすがに軽自動車で8時間運転するのは無理があるということで、泣け無しの貯金を切り崩し、バスと新幹線を乗り継いで会いに行っていたそうだ。 母ちゃんの地元は関西で、話で聞いていた通りかなりの都会だったそうだ。 ビルやショッピングモールが立ち並び、それはそれは田舎者の父ちゃんにとって別世界だったようだ。 母ちゃんの家は、そんな都会の中にある高層マンションの最上階だった。 そして母ちゃんの両親(つまりオレのばあちゃんとじいちゃん)に紹介されたものの、父ちゃんはあまり好かれなかったみたいだ。 田舎に住む緩くてほんわかしているオレのばあちゃんとじいちゃんとは違い、母ちゃんの方のじいちゃんとばあちゃんは、いくら関西人と言えど堅くて厳しそうな人だったみたいで…。 「キミに由美子を幸せにできるんか?由美子はな、うちの会社を継ぐねん。遊ぶだけならええけど、結婚は許さへんで!」 なんて事をじいちゃんの方に言われたらしい。 さすがに可哀想だ…。
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