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「あぁ、それね、由美子の香水。あの子、えらい気に入っててね、いつもその香水使ってた。その匂い嗅ぐと、なんかあの子を思い出してね、寂しくなるというか恋しくなるというか」
おばさんはそう言って、少し寂しそうに笑った。
「ディオールのプワゾンって香水なんだけど」
「でぃおーるの、ぷわぞん…?」
「でぃおーる」も「ぷわぞん」も、初めて聞く名前だった。
「ふふっ、そりゃ知らんよね。ちょっと振ってみよか」
きょとんとしているオレを見て、おばさんは香水をシュッと宙に振った。
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