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オレだって母ちゃんに会いたいし、母ちゃんを知りたいと思う。
だけどオレは母ちゃんの記憶がないから、何て話し掛けてあげればいいのか分からなかった。
そして悩むオレをよそに、父ちゃんがお墓に向かって話し始めた。
「由美子…久しぶりだな。元気にしてるか?コイツがタケシだよ。俺達の息子だ。こんなに大きくなったよ。俺は…俺は、辛い過去から今までずっと逃げていた。タケシに、お前の話をすることもなく、ずっと辛い過去から目を逸らして、忘れようと忘れようとしていた…本当にすまん…。だけど俺は…今でもずっと、お前に、由美子に会いたいし、変わらず愛している。この先もずっとな…。だけど俺達は、まだそっちへはいけないから…もうちっと見守っていてくれ」
言い終わると父ちゃんは一粒の涙をこぼした。
その涙は、なぜかとても綺麗に見えた。
父ちゃんの次に、ばあちゃんが話し始めた。
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