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「あの…えっと、オレは…母ちゃんのこと、全然覚えてないんだけど…だけど、こうして皆から話を聞く限り、母ちゃんにたくさん愛情をもらっていたことが分かったし、母ちゃんがすごく素敵な人だったってことも知った…。俺も…俺も、母ちゃんに会いたいです」
「会いたい」と実際に口に出してしまうと、さっきまではいたって落ち着いていた感情が一気に込み上げてきた。
「…その…母ちゃん…、俺を…俺を、生んでくれてありがとうっ…!」
初めて言ったオレのその言葉は、ちゃんと母ちゃんに聞こえていただろうか。
オレの目からも父ちゃん達と同様、涙が溢れてきた。
「由美子、喜んでると思うよ。タケシが会いに来てくれて、嬉しいと思うで」
おばさんはそう言って、泣いているオレの肩を摩ってくれた。
”なんで死んじゃったんだよ。なんでオレを残して死んじゃったんだよ。会いに来てよ。幽霊でも何でもいい、怖くなんかないから。オレのところに、会いに来てよ”
本当はそう言ってしまいたかった。
けれど、ぐっと堪えた。
オレはもう14歳だ。
そんな子供みたいなこと、絶対に言わない。
そんな風にぐっと堪えれば堪えるほど、ただ涙が溢れてきた。
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