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デジカメを渡し「ハイっチーズ!」という母ちゃんの元気な声に、父ちゃんと山本のおっちゃんは引きつった笑みを浮かべた。
「これがそん時撮ってもらった写真だ」と、父ちゃんは一枚の写真を箪笥の引き出しの奥の方から出してきてオレに見せた。
そこには、今よりもすごく若い二人が、綺麗な海を背景にぎこちなさそうに笑ってダブルピースをしていた。
若かりし日の父ちゃんの顔は、なかなか悪くなかった。
「あんたら、どっから来たん?」
写真を撮り終えると、母ちゃんは父ちゃん達に聞いた。
オレの母ちゃんはどうやら、関西人のようだった。
「えっと…日本です!」
「ははっ、それは分かっとるわ!日本のどこなん?って聞いてるねん!」
「言っても分からないと思います…。すげぇ田舎なんで」
「言うてみぃ!分かるかもしれへんで?」
「えっと…〇〇県の〇〇ってとこなんですけど…」
「はははっ!マジで知らへんわ!」
「ですよね…」
「ウチらは、大阪から来てるねん!よかったら一緒に遊ばへん?」
「え、いいんですか?!」
「ええよ!どうせ暇やし!ハワイよう来るねんけど、もう飽きてきたしな!」
「…はぁ」
「なぁ、この子らも一緒に遊んでええよな?キミちゃんマキちゃん!」
「「ええよー!」」
母ちゃんの呼びかけに、他の2人の女も快く返事をした。
こうして、まさかの母ちゃんからの提案で、父ちゃんと山本のおっちゃんは一緒に遊んでもらえることになった。
見た目は綺麗だけど勢いがあって、ノリがいい。
フレンドリーで、めちゃくちゃ明るい。
母ちゃんは、そんな人だったらしい。
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