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「おじさん、オレ継ぐよ。会社」
自分でも、ほぼ無意識だった。
気が付くとオレはそう言っていた。
「…え?」
おじさんは驚いた目で俺を見つめた。
動揺しているのがすぐに分かった。
「継ぐ。おじさんの代わりに、オレが継ぐよ。…母ちゃんの代わりにさ」
オレはおじさんの目をしっかり見つめ返して、はっきりそう言った。
「…タケシ、本気で言うてるんか?」
「本気だよ」
「…経営っていうのは甘くないぞ。知識も必要や」
「分かってる。ちゃんと勉強する」
「…ほな地元出るんか?」
「出る。こっちに住もうと思う」
「…そうか。まぁ、やってみろ。そない簡単やあらへんでな」
「分かってる」
オレは力強く答えた。
オレが病室を出た後、一人残されたおじさんが嬉し涙を流していただなんて、この時のオレは想像もしていなかった。
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