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「やっぱりあたしはさ、色んなところ行ってみたいねん!で、色んな経験がしたい。人生一回きりしかないやん?ずっと同じとこにおるなんか勿体ないやん!」
ワインを飲みながらそう熱く語る母ちゃんに、父ちゃんは出会ったその日ながらすでに恋をしてしまったらしい。
「あたしの家は会社してるねんけどさ、あたし一人娘やから、小さい頃からこの会社継げって言われてるねん。そりゃあさ、自動的に社長になれるわけやし、有難いと思うよ。でもあたしな、いつか自分で会社つくりたいねん。親の会社継ぐとかそんなんじゃなくて、自分の力で成功したいって思うねんやんか!あんた、分かる?」
「分かる!」
「ははっ!ほんまかいな!絶対分かってへんやろ!」
見た目は華やかで遊んでそうなのに、中身は熱くて強い信念のある女性だった、と父ちゃんは言った。
その少しきつい関西弁も、明るいところも、真っ直ぐなところも、どこか優しいところも、田舎で育ったのほほんとした父ちゃんは母ちゃんに憧れた。
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