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運命の出逢い。それはクラスメイトとの何気ない会話から始まった。
柔道部で有名なここ、清明学園に入り3年。
実家より離れていることから、寮を選んだ。
男子校なので、右を見ても左を見ても男。
そんな中、俺、佐伯亮二は2週間前に彼女と破局した。
「つーか、彼女と別れて二週間、禁欲だわ、共学じゃねーから目の保養も出来ないわ、地獄だわ、これ」
机に突っ伏し項垂れた。
「3年になって、今更かよ、わかってたもんじゃん、彼女いただけマシ」
「お前らは自宅からだからまだいいだろ?何処かで出会いあるかもだし。俺は寮だし、もう女できる可能性低いし、溜まる一方」
そんな俺に1人のクラスメイトが思い出したように言った。
「だったら寮にいるさせ子の天使にお願いしてみたら?」
「....させ子の天使?なんだそりゃ」
「二年の倉田ハル。超美少年らしいんだけど、やらせてくれるらしいよ」
俺は思わず眉を顰めた。
「....やらせてくれる、て男だろ」
「言っただろ、美少年だって」
「俺、見た事あるけど、小さくて可愛くて華奢でさ、女顔負けよ」
「....お前はやったわけ?」
興味本位で聞いてみた。
「いや、ない。俺、寮生じゃないし」
「なんだよ、なんのアドバイスにもならないじゃねーか」
「ものは試しじゃん?無理なら帰せばいいだけだし」
「抜いて貰えよ、亮二」
そんなこんなで、クラスメイトのアドバイス通りに、名前、学年とクラス、寮の部屋番、希望する日にちや時間を書いた紙を二年の倉田ハルの靴箱に入れた。
指定した日。
時間が迫る度に鼓動が早くなる。
「男と....だ、ダメなら帰って貰えばいいんだよな、うん」
俺は一人、言い聞かせていると、部屋がノックされた。
慌てて、玄関に駆け寄り開けると、小柄で細身、恥ずかしそうにはにかむ、女の子と見間違わんばかりの私服の男子がトートバッグを掛けた紐を両手で握り、立っていた。
「佐伯...亮二先輩の部屋ですか....?」
「え、あ、うん。と、とりあえず、入って」
「はい。お邪魔します」
丁寧にお辞儀をし、脱いだスニーカーはきちんと並べている。
(....こんな子がさせ子なんてな....)
几帳面らしさとあどけなく可愛らしい風貌から俺は少し驚いた。
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