君だけのナイト☆

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ハルにレンゲを添え、温めたレトルトのお粥を手渡した。 両手で受け取り、ハルが優しい笑みを見せる。 「梅がゆだ....」 「嫌いだった?他のにしたら良かったな」 俺は少々慌てたが、ハルが小さく首を振り、いいえ、と 「好きだから」 両手に包んだ器を見つめたハルが優しい笑みを浮かべる。 思わず、ドキッとしたが、ハルが急に狼狽え出した。 「あ、す、すみません、そ、その、お粥では一番、梅がゆが好きなんです」 「あ、そ、そうか。熱いから、火傷しないようにゆっくり食えよ?」 「はい」 ハルは俺に笑顔を見せ、レンゲをフーフー息を掛けながら、梅がゆを食べ始めた。 その姿になんだか俺は癒され、無意識に微笑みながら、ハルが梅がゆを食べるのを見守った。 食べ終えた器を受け取ると、ハルに横になるよう促し、掛け布団を肩まで掛けてやる。 おでこに手を当てると、少し熱が引いたように感じた。 念の為、ハルに体温計を渡し、測らせると、38℃だった熱は37℃台まで引いている。 だが、まだ安心できる訳じゃない。 「喉、乾いたか?」 「...少し」 冷蔵庫から未開封だったポカリを持ってくると、キャップを開け、横になっているハルに手渡した。 まだ熱のあるハルが起き上がるにも時間がかかる。 「ちょっと待ってな」 ハルに手渡したポカリを取り返し、キャップを開け、口に含む。 そして、起き上がり掛けていたハルの唇を舌を使いこじ開け、口移しでゆっくり飲ませた。 「せ、先輩....風邪、移ります....」 「大丈夫。気にせず、ハルは横になれ」 ハルを布団に寝かしつけ、再び、ポカリを含み、口移しで飲ませた。 「まだ飲むか?」 「あ、あと少し....」 ほんのり頬を染めたハルに応え、何度かそうして、ハルに口付けるようにポカリを飲ませ、ついでに風邪薬も口に含み、ポカリでハルに飲み込ませた。 「あ、ありがとうございます...先輩」 俺はハルの額のシートを替え、 「ゆっくり休め。起こされて、災難だったもんな」 ハルの髪を優しく撫でると、ハルは掛け布団を口元まで被り、 「おやすみなさい、先輩」 瞼を閉じた。
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